「何によって憶えられたいか」これは有名なフレーズですが、ドラッカーが言った言葉ではないのです。
ドラッカーが13歳の時に宗教の先生が教室の中を歩きながら聞いたのそうです。
もちろん誰も答えられなかった。
「何によって憶えられたいか」みなさん答えられますか。
そもそも、問いかけが難しいですよね。「憶えられたいか?」
はっ?
それも中学生への問いかけですから。
「何によって憶えられたいか」
この問いをドラッカーはかかりつけの歯医者さんに聞いたそうです。
答えは、
「あなたを死体解剖する医者が、この人は一流の歯医者にかかっていたといってくれること」
だったそうです。
この内容は、プロフェッショナルの条件 はじめて読むドラッカー (自己実現編)に書かれていたのですが、なぜ回答として歯医者の事例をドラッカーは書いたのか?
考えてみると、一流で名声を浴びている歯医者って聞かないですよね?
外科医が主人公になるテレビドラマはありますが、歯医者のドラマは記憶にないです。
歯医者の仕事は治療して当たり前で、良し悪しは口の中だから見えないし分からないのです。
ただお金を稼ぐために治療している人もいるが、見えないからと言って手抜きをせず自分の卓越性(強み)を追求し成長していくと歯医者は言っているのです。
人に見られなくても良いのです。人に称賛されるものではないと言っているのです。
ではどうすれば成長するのか。
成長する為の原理
自らの成長の為に最も重要な事は、強み(卓越性)の追求です。
恩師のまね、優れた人のまね、ではなく自分の強みを伸ばすことが成長につながるのです。
成長によって得た能力が、優れた仕事になり、自信になり、人間としての成長につながっていくのです。
大事なのは、「成長するという事は能力を習得するだけでなく、人間として大きくなることである」
成長のプロセスを維持していくための強力な手法を3つあげると、➀教える事、➁移る事、③現場に出る事。
教える事
これはみなさんが共感できるとであると思います。
教えることによって、相手が学ぶだけでなく自分も学ぶという事ですね。
自分の知識を誰か教えようとしたら、途中で分からなくなってしまう。質問されたら答えられない。
このような事例はみなさん経験していると思います。教えるという事は深めるという事にもなるし、反復によって自分のものになってくのでしょう。
移る事
同じ組織にとどまることなく、飛び出して経験してみようという事です。
長く同じ組織にいると居心地がよくなってしまう。このような時こそ組織を飛び出し自らを駆り立てる必要がある。
無理に会社を飛び出す必要はなく、隣の組織に行ってみる。学びも多いし隣の組織から自分いた組織の良いところ、悪いところが見えてくる。
同時に、自分の新たな可能性を見出すことが出来るかもしれないという事です。今までの組織で行ってきたことは、好きではなかったかもしれないが配属で決まりそのまま仕事をこなしてきただけかもしれない。
他の組織で仕事をすることにより、情熱を持って行える仕事に出会えるかもしれない。
現場に出る
成長の維持のための現場でに出るという事は、社長さんのように現場の声を聞きなさいという事ではないです。
現場に出て仕事をしなさいという事なのです。現場ではボーとしている暇はなく、常に考え行動しなければならないのです。真剣に学ばざるを得ない状況に置くことが時には必要なのです。
辞めるか、移るか
自らの成長の為には、自らの適した組織において、自らに適した仕事に就かなければならない。
「学校を出たばかりで最初につく仕事はくじ引きである」
「最初から自らに適した仕事に就く確率は少ない」
これは確かに言えることですね。
ただし、日本では辞めることは罪悪的に言われること多いですよね。
合わない職業は多いはずなのに…
同じ会社でも、他の組織に移れるのは数年必要でしょう。不向きだとわかったら、同じ会社で自分に向いていそうな仕事を探すのは悪くないと思います。
今の仕事が向いていない思ったら、次に問うのは「それはなぜか」です。
➀組織の価値観になじめない
➁組織が堕落している
③上司が人を操っていたり、自分の事しか考えない
④上司が部下を育て、励まし、引き上げる役目を果たしていない
⑤自分の成果が認められない
上記のような問題ならば、組織を異動するもしくは辞めるべきである。
無理して同じ場所にいる必要はないですね。
長い人生なのですから。
最後に「何によって憶えられたいか」
13歳で答えられなくても良い。「ただし50歳になっても答えられなければ人生を無駄にしたことになるよ」
と先生に言われたそうです。
ドラッカーを含めた生徒たちは、40歳過ぎてからこの意味が分かってきて問いを続けているそうです。
今からでも遅くはないので、考えてみませんか。
「何によって憶えられたいか」
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