僕はうつ病を体験しました。というより、今も、うつ病で治療中です。
なぜ「体験しました。」という表現を使ったかというと、現在通院して薬は飲んでいますが、つらい時期は終わり通常の生活が出来るようになっているからです。
1.仕事を辞めたいと思う
20代から30代にかけて7年間くらいはつらい時期を経験したので、うつ病で悩んでいる人の気持ちは少なからず分かります。
4ヶ月間会社に行くことができなく自宅で休み、あまり長く休みたくなかったので体調は悪かったのですが、会社に復帰しました。
何をやっても楽しくない、遊びに行くのがつらい、体がいつもだるい、疲れているのに起きてしまう。何のために生きているのだろう。
そんな思いが数年続き、手術で治る病気がうらやましく思いながらも薬を飲み続けました。今は、2か月に一度通院し、エチゾラム(デパス)とセルシンを毎日飲んでいます。
会社を休んだのは4ヶ月間ですが、復帰してからも会議は出られないし電車に乗れないから出張にも行けない。私生活では床屋に行けないし満足に買い物も出来ない。
不自由だった事が多かったです。
2.仕事を辞めたいと思ったか?人間関係
今は、時短が叫ばれ長時間労働は悪となってきています。
しかし以前、僕は設計の仕事をしていまして、朝8時半から夜9時ころまでが通常勤務でした。(残業代はもちろん全部もらえませんでした)今でいうと、ブラック企業みたいですが、当時(1990年代ころ)は普通にみんなが仕事していたと思います。
まあ、17時ころから気持ちのスイッチが入るようでしたから、仕事の効率は悪かったと思います。
週休2日でしたが、月に2日くらいは出勤していました。もちろん代休や有休もとりませんでした。当時は先輩や上司が休まなかったので、若かった自分たちも休む権利はあったのですが、休めなかったです。
休んだのは風邪を引いて熱が出た時くらいです。(熱が出たことはほどんどなかったですが…)
結局、80時間/月の残業時間となりますが、その 程度なら肉体的にはつらくありませんでした。肉体労働ではないとういこともあるのでしょうね。机に座っている時間が大半でしたから。
仕事に関して、自分ですべてやりたいという意識があり、問題があっても相談せずに一人で抱え込もことが多かったです。そうなると、休みの日も考えてしまうんです仕事のこと。何とか1人で解決したいという気持ちでした。
まあ、一人で解決できなければ先輩や上司の力を借りて解決するというのが本当の流れですが、それでは嫌だったんです。自分の満足感が欲しかったのです。
設計の仕事というと図面を書けばいいのかというと、ほとんどが試作機を作って検証する時間です。設計して作ったものがうまく動作しなくて、それを解決する作業がほとんどです
やはりノウハウがない新しいことを行うので、すんなり動作しないのです。しかし発売時期は決まっているから、逆算して今週中に解決しなくてはいけない、なんてことがほとんどです。
月曜日には良い報告がしたいという気持ちがあり、金曜日に目途が立たなければ土曜日に出勤して何とかしようという意識が常にあり、悪循環が続いていました。
こちらも参考にしてください。
3.仕事を辞めたい:営業のストレス
これは想像ですが、営業職の人は、毎月や4半期、上期、下期、決算など明確な区切りがあり、その区切りで気持ちのリセットが出来るのでしょうか。結果が数字で出るので喜んだり苦しかったりするのでしょう。
しかし毎回目標に届かなければ落ち込みますね。そうすると毎日どうすれば売れるのかと悩み続けるのでしょう。上司に言うと「自分で考えろ」とか言われるんでしょうね。
それに、相手がお客さんなので、クレーマーにも対応しなくてはならないので人間不信にもなりそうです。時間外や休みの日にも呼び出されたり..
自分の設計した製品に問題が出て、買ってくれたお客さんが怒っている時、営業の人が謝りに行ってくれます。文句も言わずに対応してくれるのは非常に申し訳なく思っていました。
営業の人はもっと大変かもしれません。人間関係でうつ病になってしまうのは、営業職の人の方が多いのでしょうか。
4.仕事を辞めたい:開発のストレス
開発の仕事は、試作品を作ってから苦労が始まります。思い通りに動きませんから。そして1年以上かけて発売してよし!ではないんです。
製品を発売してから苦情がでないかドキドキするんです。不特定多数の購入してくれたお客さんが一斉に使いだすので何か予測できなかったことが起こる可能性があります。
皆さんも買ったばかりの製品が、動作しないという事も経験したかと思います。
特に、発売当初のトラブルは設計上の理由が多いいのです。ですので発売後3カ月くらいは、苦情の報告があると設計者はビクッとします。
3ヶ月過ぎると、ほぼ安定しその後の問題は製造上の理由が多くなる為、自分の責任は軽減されます。しかし、そのころはすでに違う製品の設計に入っていますから心の休まることはないのです。
仕事ですのでつらいのは当たり前ですが、こんな事が続き徐々に体調が悪くなっていきました。
ではその他の要素として関連が大きい人間関係はどうだったのでしょうか。
5.仕事を辞めたい:人間関係
職場での人間関係
人間関係には恵まれていたので、上司に怒られることも一度もありませんでした。
もちろん会社には例外の人がいて、会議などで怒鳴る人もいましたが、自分はそのような被害にあうことはありませんでした。
先輩も優しかったし、失敗して他部署の人に迷惑かけても文句を言わずに対応してくれ、責められることはありませんでした。
このことは後に書きますが、休職してから職場復帰した時も同様に恵まれていたと思います。とても良い職場です。
職場での人間関係が、うつ病になる要因の上位になっています。今でいうパワハラとかセクハラですね。
よい職場ですが、やはり部署異動などでいやな人と一緒に仕事をしなくてはならない事ももちろんありました。
今まで30年以上仕事をしていますが、3、4人はいました。パワハラとかではなく、意見が合わなかったり、その人の行動が理解できなかったり、いやだなーと思いながら仕事をすることもありました。
いやだからと言って上司に相談した事はないですが、自然と離れていくんですね。
1年か2年我慢すれば、自然といなくなりました。その人が会社を辞めたり、異動したりという事が多かったです。
ですので、いやな人と仕事をしなくてはいけなくなっても、時がたてば解決すると思っています。
もし人間関係が原因でうつ病になってしまったのなら、とにかく会社を休業して治療し、復帰出来るときに考えましょう。
会社をすぐに辞めるべきではないと思います。辞めるべきではない理由はこちらです。
会社には異動がつきものですから、パワハラ、セクハラなどではなく許せる範囲ならば時が解決すると思います。
もちろん会社の規模や職種にもよりますので、当てはまらない人も多くいると思いますが。
家族・家庭の様子
当時独身で母親と姉の3人で一軒家に住んでいました。
みんなが仕事をして独立しており、金銭問題や病気の悩みなどなかったので、特に会話はありませんでしたけど普通に暮らしていました。
姉とお風呂の時間がかち合うと、1時間待たされるのでそれは嫌でしたね。
体調が悪くなったのも家族は知らないと思います。通常通り会社に行ってましたし、食欲もあり、お風呂にも毎日入ってましたので、特異な言動はなかったと思います。
ただ、体調が悪くなってからは、家に帰ってお風呂に入り食事を終えて部屋に入ると、もうそこから動けなくなりました。部屋で飲もうと思って飲み物を持って行ってもそのままで、布団に入ってしまうことも多かったです。そこは家族には知られない実態です。
6.仕事を辞めたいくらい、出来なかった事
電車に乗れない
はい、乗れませんでした。うつ病から来る恐怖なんです。倒れてしまう、気を失ってしまうという恐怖感が常にあります。いつも逃げる場所を探している感じですかね。次の停車駅やバス停までの拘束された感覚が怖いのです。閉所恐怖症やパニック障害などと似ているかもしれません。
僕はみんなの前で倒れるというのが嫌だったので、仕事中でもつらいときはトイレの個室に逃げ込みました。そこでしばらくすると落ち着いてくるんです。もちろん飛行機、エレベーターもだめです。自分の意志で動けない所はNGです。
会議に出られない
会議はNGです。やはり拘束感からでしょうか。会議中、次第に頭がフラフラしてきてトイレ行くふりして会議から抜け出ることがありました。2,3度経験してから、会議に出席できないと上司に伝え、会議には出ないようにしてもらいました。
必要な時だけ呼んでくださいと。そもそもじっとしていられないんです。座っていられないんです。自分が発言しなくても良く、出席しているだけでの会議でもだめでした。
うつ病は、克服していくことも必要かもしれませんが、無理せず逃げることも必要だと思います。万一、そこで本当に倒れてしまったら復活するには相当な時間が必要になるでしょう。
床屋に行けない
うつ病と診断されてからも髪の毛は伸びます。自分では切れないので床屋さんに行きました。そしてシャンプーの時です。男性用なので前かがみになってシャンプーを洗い流すのですが、シャワーから流れてくるお湯で息が苦しくなり思わず起き上がってしまいました。
「どうしました!」ってなりますよね。耐えられなかったんです。今まで普通に出来ていた事が。女性用の仰向けの流しにつれて行ってもらいなんとか終了しました。ちなみに、自宅でのシャワーはなんともないです。人にやられるのと、自分でやる事の違いでしょう。
もう、シャワーは怖くて出来ないので、一か月後にシャンプーはしないで、カットだけお願いすることにしてチャレンジしました。
しかしカット中、心臓がバクバクなって、時折脈が追い付かなくなって一拍飛ばす不整脈になるほどでした。「大丈夫ですか?」と理容師さんに心配されながらなんとかカットが終わりました。もう、床屋さんにはいけない...
いっそ坊主にしようかと考えましたが、友人に自宅でカットしてもらうことにしました。やはり難しいようで虎刈りのようになってしまいましたが... なれない事させてすみません。
次にどうしたかというと、掃除機に取り付けて、カットと吸い取りをしてくれる装置を見つけて買いました。これはよかったです。相当長い間、この装置に助けられました。5年程度床屋には行けなかったでしょうか。
外食に行けない
ああ、これは絶対無理です。そもそも実行しようとも思わなかったし、考えもしませんでした。おいしいものを食べようという考えは全くないし、苦痛になるのは目に見えていますからチャレンジもしませんでした。
家では普通に食べられますが。ずーっと外食はしませんでしたね。
本屋に行けない
休んでいる間は、気を散らすために小説を読んでいました。体調のことを考えないように何かに集中していたかったのです。しかし本屋に行くのが苦痛なんです。もう本屋どころかお店に入ることが恐怖なんです。
勇気を出して、速攻で本屋に入りすぐさま何冊かとって、レジに行く。今では考えられないかもしれませんが、本を買うのも一大事なことだったんです。今まで普通に行っていたことが出来なくなってしまうんですね。
車の運転が苦痛
住まいが田舎なので、病院や買い物は車で移動でした。短時間であれば割と問題なかったです。自分で運転する車は、調子悪ければ路肩に止めるなり自由に出来たからでしょう。一人での運転は大丈夫でした。しかし、人を乗せての運転は全く別物です。自分のペースというわけにもいかないし、急に路肩に止めたら変ですよね?
会社に復帰してからは、なるべく普通に過ごしたかったので、ドライブとか行きました。しかし運転を続けているとつらくなってきて、手に汗が湧き出てきて理由をつけては休憩をとるようにしました。全然気分転換にはなりません。
買い物で何件かお店に行くときは、1件づつ家に戻ってきて休む。このような車の運転の仕方です。
7.最後に
うつ病の患者は厚生労働省の資料を見ると、日本で120万人を超えているようです。これは病院で受診している人の数ですので、通院していない人を考えればその何倍もいるはずです。
通院していない人は、うつ病と認めたくない人も多くいると思います。自分も最初に精神科に行くのは嫌でしたから。なかなか治りにくい病気ですが、治る希望をすててはいけません。
希望を持つためにも、人によってもちろん症状は違いますが、自分の経験が苦しい人に役立てればいいなと思い記事を書くことにしました。
頑張らなくてもいいので、治ることに希望をもって欲しいです。この文章を読んでくれている人は、自分がうつ病ではないかと思っている人、うつ病で治療中の人だと思います。
それ以外にも家族、友達、会社の仲間など、うつ病の人とどのように接すればいいかと考えている人もいると思います。
うつ病に関して上記の内容に興味を持ってもらえた方は、自分の体験や考えをもう少し見てもらえると嬉しいです。
興味を持ってもらえた人たちに少しでも役に立てるように、うつ病を体験した自分の症状や気持ちを書いています。
コメント